おりつむi

こんにちは。i-o-times編集部のYです。

今、スマホアクセサリー業界で注目のキーワードが「高級」です。i-o-timesにも「高級 スマホケース」という検索キーワードでたどり着いた方も最近増えてきています。

高級スマホケースと言えば、以前の記事で紹介した「クロコダイル製のスマホケース」です。エキゾチックレザーと呼ばれる最高級の皮革を使ったスマホケースの記事は大きな反響がありました。

今回i-o-times編集部は、素材はもちろん、製造方法も極めた職人がつくる「最高級のスマホケース」があるとの情報をキャッチ。そのメーカーは、株式会社 TAKUYA MADE BY HAND(代表取締役 岡本拓也氏)。

早速、取材に行ってきました。

TAKUYA MADE BY HANDについて

株式会社 TAKUYA MADE BY HAND(ブランド名:T・MBH)は、東京の下町:浅草橋に工房があります。代表を務めるのは、岡本拓也氏。革製品マニアの人は、誰もが一度は聞いたことある名前だと思います。

岡本拓也さん

製法について説明する岡本拓也氏

岡本氏は、35歳のときに「TAKUYA MADE BY HAND」を一人で立ち上げます。その後、タイで立ち上げたブランド「MAISON TAKUYA」で、当時画期的だったスマホに革カバーをする、高品質な高級スマホケースを世に送り出します。

その後、「本物のものづくりがしたい」との強い想いから、現在のT・MBHを新たに立ち上げます。
(「MAISON TAKUYA」は現在、T・MBHとは関係ありません。)

50万円入れてもカサ張らない?!T・MBHの革財布が極薄で長持ちする理由とは?

岡本拓也氏率いるT・MBHが生み出す革製品の魅力は、「シンプルで美しい、かつ実用的」であることです。

T・MBH

「差別化のために、機能やデザインを"付加"することは比較的簡単です。でもそうしたら、過剰になりすぎ、本来の素材がもつ良さから離れてしまいます。私たちが目指していることは、"本物"を作ることです。」(岡本氏)

「葉合せ製法の場合、素材の良さを極限まで引き出すためには、縫い目など、できるだけ無駄な部分を省きます。そうすると、シンプルで美しいものになります。」(同)

確かにT・MBHの革製品は、無駄な部分が一切ないシンプルそのもの。最高級素材の良さが一層引き立ちます。

葉合せ

シームレスが特徴なT・MBHの製品

また、T・MBHのものづくりは、「実用的なものとは何なのか」を考え抜くことから始まります。製品の本来の用途を突き詰めると、無駄な機能やデザインのないシンプルなものに"自然"となるのかもしれません。

「シンプルで美しく、かつ実用的」な製品をつくるためなら、製造方法も開発するのがT・MBHの凄いところ。既成概念にとらわれない新たな製法で、従来では考えられないような革製品を生み出しています。

葉合せ製法でステッチ不要の革財布

ここで、岡本氏が開発した独自の「葉合せ」製法を紹介します。

葉合せ製法では、糸が一切使われていません。薄く漉(す)いた革を斜めに切断し、貼り合わせることによって、胸ポケットに入れてもファッションを邪魔しない、かつ長持ちする革財布ができました。

葉合せ
葉合せ製法の概念(T・MBHホームページより)

一般的な革財布は、表裏の革をつなぐために糸で縫い上げます。そのため、表面のエッジ部分に「ステッチ」と呼ばれる縫い目が出ます。

縫い目があるのが革財布らしさでもあるのですが、長年使っていると糸が切れてしまうことがあります。

ステッチはキリトリ線と同じであり、強度を保つには十分な革の厚みが必要です。さらに経年使用した革は脆くなりますので、端の部分が切れやすくなるのです。

一方、「葉合せ」でつくった革財布は、ステッチがないので、革を薄くしても強度を保つことができます。

葉合せ

革財布

上図:縫い目(ステッチ)とマチがないT・MBHの革財布|下図:一般的な革財布

また、封筒のような形状にすることで、「マチ」が不要になり、財布の厚みを抑えることができます。さらに、表裏の革を止めるための「縫しろ(のりしろ)」をずっと少なくできるので、財布の外寸も非常にコンパクトにすることができました。

なんと、お札を50枚入れたくらいでは、財布の厚みがほとんど変わりません。

まさに、「胸ポケットに入れてもカサ張らない」「長くエイジングを楽しめる」という革財布の実用性を極めた、究極の革財布です。

ついに完成!最高級のiPhoneケース「おりつむ i」

そんなT・MBHが世に送り出したスマホケースが「おりつむ i」です。

おりつむi

おりつむi

エキゾチックレザーを使った「おりつむi」

その名前の由来は、同社の「TUMU」シリーズから来ています。TUMUは、荷物を「包むように積む」がコンセプト。一枚の革から縫い上げたT・MBHでも人気のシリーズです。芸能人の中にも、御用達の方がいるとか。

「おりつむ i」も、一枚の最高級レザーからできています。シンプルさを極めたT・MBHの製品らしく、シームレスなつくりが、最高級素材の良さを引き立てています。

スマホケースのタイプは、手帳型に分類されます。しかし、「おりつむ i」は手帳というよりは、iPhoneを包み込んでいる感じで、ブリーフケースやポーチに近いかもしれません。

「ファッションに取り入れられる革製品を」と岡本氏が言うように、もはや高級アクセサリーといっても良いでしょう。

見えないところにもこだわり

i-o-times編集部が気になったのは、iPhoneで見えなくなってしまう樹脂ケース部分にも、なぜか革が貼られていることです。

この理由を岡本氏に問いました。

「理由は二つあります。ひとつは、初めてお客様が手に取ったとき、ほとんどこちら(iPhone設置面)を見るので、商品の印象が良くなるからです(笑)。もう一つが重要なのですが、革を一枚挟むことによって、iPhoneと樹脂ケースがより密着します。これによって、iPhoneと樹脂ケースの間に埃が入らなくなります。あと、iPhoneのぐらつきも抑えることができる効果もあります。」(岡本氏)

おりつむi

iPhoneを装着すると見えなくなる部分にも高級革を使用

マネできない究極の製法

岡本氏のiPhoneケース作りは、「MAISON TAKUYA」時代から始まっています。そこでは、主にハードケースタイプ(リアバンパー)を製造していましたが、当時から「手帳タイプも作って欲しい」との声が数多くありました。

リアバンパーiPhoneケース

リアバンパー型のiPhoneケース

しかし、岡本氏のこだわりは「手縫い」。一般的な製法では、納期に半年以上かかるため、とてもコストに見合うものが作り出せず、商品化されることはありませんでした。

高級革靴の製法「ホールカット」を応用

しかし、本物のモノづくりがしたいとT・MBHを立ち上げた岡本氏は、ある製法を編み出します。それが「逆絞り製法」です。

逆絞り製法は、高級革靴に用いられる製法「ホールカット」を応用しています。

ホールカットとは、一枚の革で靴のアッパー部分をつくる製法です。平面の一枚の革を、しわを作らず立体的な靴の形にするには熟練した技術が必要であり、本物のホールカットには縫い目が一つもないと言われています。

逆絞り製法では、穴を開けた内革に樹脂ケースを埋め込み、革と樹脂ケースを一体化させます。それによって完全にシームレスなスマホケースが実現しました。

逆絞り製法

逆絞り製法

逆絞り製法(上図:一枚の革に穴を開ける。|下図:樹脂ケースを埋め込み革と一体化させる。)

平面の革を、シワを作らず立体的に加工する技は、実現するまでに歳月4年。T・MBHの中でも、岡本氏にしかできない技術だそうです。

間近で凝視しても、樹脂部分と革部分のつなぎ目が全くありません。湾曲した部分でも革にシワはなく、樹脂と革が融合しているようです。思わず見とれてしまいます。

おりつむi

隠すことなく、技法を教えてくれる岡本氏。「ここまで詳しく写真撮っていいのですか?」と聞いてみました。

「大丈夫です。誰もマネできませんから。」(岡本氏)

シンプルさの中にも実用さ

つなぎ目や縫い目が一切なく、シンプルさを追求した「おりこむ i」。もちろん、実用的な要素も見逃せません。

逆絞り製法により、樹脂ケースと革が完全に融合しており、手帳型ケース特有の本体のぐらつきや、フリップ部分がプラプラしながら通話なんてこともありません。さらに、指がかかる部分にはほどよい凹み。通話時に指がかかるため、実に握りやすくなっています。

おりつむi

握りやすい「おりつむi」

また、使っているときにiPhoneのリアカメラが隠れる設計。対面にいる人からは、カメラが見えませんので、あらぬ疑惑をかけられることもありません。

最高級のiPhoneカバーは、なんと12万円〜!

最高品質の素材と、最高水準の技術が作り上げた「おりつむ i」。なんと、値段は12万円からです。

実際に商品を手にとって、品質の良さや製法について話を聞けば、納得のお値段。

しかし、平均の使用期間が2年と言われるスマホ。交換サイクルは長くなっているとはいえ、スマホの交換と同時に使えなくなるスマホケースに、12万円以上はなかなか手がでません。

i-o-times編集部:
「2年で使えなくなるものに10万円以上は、普通は手が出せないというのが正直な感想です。」

岡本氏:
「確かに、2年で使えなくなる革製品に10万円以上は出すのは、普通の考えではありえません。革製品は長く愛用するものというイメージがありますから。」

i-o-times編集部:
「革製品と言えば、自分でメンテナンスをして、長く愛用する。長く使った方が味が出ると私も思っています。」

岡本氏:
「ただ、良く考えてみてください。スマホって、毎日どころか、毎時間使いますよね。手に触れる時間が、1日で一番長い"モノ"という人も多いのではないでしょうか。」

「"2年"というと短いかもしれませんが、総使用時間でいうと、他の革製品と大差はないと思います。むしろ、費用対効果は良い方です。1日あたり300円くらいでしょうか。1日300円で最高のモノを肌身離さず持てることを考えると、少しは現実的になるかもしれませんね。」

i-o-times編集部:
「なるほど。」

岡本氏:
「逆にいうと、おりつむiを毎日毎日使い倒して欲しいと思います。飽きるほど使って、充分に使い切ったと思ってもらえたら嬉しいですね。」

まとめ

時計や車などは多くのブランドがあり、求める人の社会的ステータスや年齢・性別によって様々な価格帯の商品が揃っています。より高級なものを求めるならば、お金がいくらあってもたりません。

しかし、スマホは違います。スマホそのものは、時計や車のようにブランド要素が求められるものではありません。

だからこそ、スマホをブランディングするアイテムとして、"高級スマホケース"の需要が高まっているのかもしれません。

■ 取材協力
株式会社 TAKUYA MADE BY HAND
http://takuya-mbh.jp/index.html
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