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こんにちは。i-o-times編集部のAです。

大きな反響をいただいた元上場企業のCFOが語るシリーズの新企画「スマホアクセサリー専門店の起業」の第2回です。

前回の記事では、スマホアクセサリー専門店の実店舗を出店しようと考えている場合、テスト販売の重要性をお伝えしました。

今回は、テスト販売の結果を受けて、実際に出店を進める時のポイントを取り上げます。

出店時の売上の推定方法

テスト販売の結果が明らかに良ければ、もはや迷う必要はありません。物件のデベロッパー(大家)にテスト販売の実績を説明すれば、出店できる可能性が高いでしょう。

問題は、テスト販売の結果が良いか悪いのか判断が難しい場合です。まずは冷静に結果を分析することが重要です。

テスト販売の結果を元に、スマホケース専門店を常時営業したときの売上を推定してみましょう。

売上推定で大切なことは、テスト販売時の結果に特殊な要因があるかどうか確認することです。外部環境などが原因で、通常よりもプラスになる要素があればテスト販売の結果を割引き、マイナスの要素があれば上積み期待を入れます。

プラスになる要素としては、例えば館内や近所でイベントがあった、iPhoneの新機種が発売された、販売場所が期間出店用の非常に売れる場所だった、などが考えられます。

一方、マイナスになる要素としては、ホームページなどでの告知がなかった、そもそもテスト販売の場所が人の流れのない場所だった、などがあります。

他店舗から売上を推定する

もし、テスト販売が1週間や2週間の短い期間だった場合には、同期間の周辺の店舗の売上から月の売上を推定することもできます。

例えば、テスト販売期間が1週間で、売上が100万円だったとします。

他店を調べたところ、同期間の売上は120万円で、その月の1ヶ月の売上が600万円であることが判明しました。

すると他店の1週間売上の構成率は、120万円÷600万円=20%であり、そこから自社テスト販売からの1ヶ月売上推定値は、100万円÷20%=500万円とすることができます。

売上の推定値からの採算判断

売上が推定できたら、その売上で採算が取れるかどうかを検討します。利益の計算方法は下記です。

粗利 = 売上 ー 売上原価 (売上 × 粗利率)

営業利益 = 粗利 ー 人件費 ー 家賃 ー その他経費

尚、人件費は、スタッフに払う給料に加え、会社負担の社会保険料概算として給料総額の15%も見積ります。また家賃は、ショッピングセンターなどは売上に連動することもあるなど、契約条件に従います。その他経費としては、水道光熱費や消耗品費などがあたります

ここで一例として、テスト売上結果から1ヶ月の売上予測が500万円して、採算がとれるか計算してみましょう。

前提条件は下記のとおりです。

粗利率・・・50%
スタッフ人数・・・4名
スタッフ一人あたりの給料・・・25万円
会社負担の社会保険料・・・15万円(給与総額の15%として)
家賃・・・・固定50万円・売上連動10%
その他経費・・・・20万円

この場合、営業利益を計算すると下記です。

粗利 = 500万円 × 50% = 250万円

営業利益 = 500万円 ー(25万円×4+15万円)-(50万円+500万円×10%)-(20万円) = 15万円

となり、見事営業黒字となりました。

営業利益はプラスになることが、出店するかどうか決める最低条件です。さらに、売上が下がった場合も、どの売上まで営業利益をプラスで維持できるか確認しておきましょう。

上記の数値例を使った場合は計算方法は以下です。

固定費÷(粗利率-変動費率)
=(25万円×4+15万円 +50万円+20万円)÷(50%-10%)= 462.5万円

462.5万円が営業利益がゼロになる売上です。つまり1ヶ月で462.5万円を売上げなければ赤字になります。

まとめ

今回は、売上と営業利益の推定方法をお伝えしました。

テスト販売の結果、あまり営業利益が期待できない場合や、売上が少しでも推定値を下回ると赤字になってしまう場合は、出店は慎重に判断すべきです。

出店は多額投資を伴います。そのため、失敗したときのダメージも大きいです。迷ったら止める方が賢明かと思われます。

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