リモートワークが定着して、毎日通勤から解放されてラクな反面、どうしても自宅にいる時間が長くなって運動不足になってしまうという方も少なくないのではないでしょうか?
健康のためにも定期的に運動を始める方も多いのではないでしょうか。そんな時に手助けしてくれるのがスマートウォッチ。
スマートウォッチを調べると色々なブランドが出てきて、何が違うのかがよくわからない方も多いと思います。そんな方々に向けて、スポーツ用にオススメなメーカーのガーミン(Garmin)、ポラール(Polar)、スント(Suunto)の特徴を説明します。
なぜスポーツにスマートウォッチがおすすめ?
体重を落とそうとしてランニングなどの運動をする方は多いと思います。
しかし、重要なのが、その時の消費カロリーとエネルギー源です。エネルギーは主に食べ物から摂取した糖や炭水化物と、体に蓄えられている脂肪が利用されます。
体重を落としたい場合、脂肪を燃焼したいですよね。
一般的には、有酸素運動では脂肪が燃焼され、無酸素運動では糖や炭水化物が消費されると言われます。
ただ、何が有酸素運動なのか、どの程度の運動でどのくらいカロリーを消費するかはわからないです。スマートウォッチをつけることで、こういったものが分かるようになります。
スポーツ時の最大心拍数を把握することが大事
最大心拍数は一般的に、220 − 年齢と言われたり、206.9 − (0.67×年齢)と言われたりします。
効率的な脂肪燃焼を目的とした有酸素運動は、最大心拍数の60%〜70%ぐらいが良いとされています。この範囲であれば、エネルギー消費が大きく、有酸素運動がメインになります。
これより心拍数が低くなると、エネルギー消費が少なくなってしまいます。心拍数が高くなるとエネルギー消費は高くなりますが、無酸素運動が強くなってしまうので、脂肪燃焼より糖や炭水化物の方が中心に消費されてしまいます。
ただし、最大心拍数は同じ年齢でも個人差が大きいです。
筆者は40歳なので、計算上の最大心拍数は180ですが、計測すれば198まで上がります。なので、当初は計算式を利用して、運動に慣れてきた時に心拍数を上げるトレーニングをしてみて、どのくらいまで上がるかを確認すると良いでしょう。
よく有酸素運動には、ジョギングやスイム、自転車が良いと言われますが、これは息がきれないぐらいの運動=有酸素運動が可能だからです。頑張りすぎて、最大心拍数の70%を超えてしまうと、逆によくありませんので注意しましょう。
スポーツにおすすめのスマートウォッチ3選
ガーミン、ポラール 、スント、どれも心拍数が計測できますし、消費カロリーも分かります。
そのため、心拍数をみながら有酸素運動を維持し、運動後の消費カロリーを確認するだけであれば、どのメーカーでも大丈夫です。
値段と好みのデザインで決めても、十分に必要な機能はついてきますが、各社の違いはあります。
ガーミンと言えばGPS
ガーミンと言えば、やはり GPSの精度になります。
ガーミンは、車のドライブレコーダーに搭載されているGPSで有名です。それだけでなく、飛行機や漁業用などに搭載されているGPSもガーミンです。そういった技術を持っているため、GPSの精度は非常に高いです。
各社、運動後に運動したデータをスマートフォンや PCで確認することができます。そのとき、どこを走ったか、そのときのスピードや心拍数を見ることができます。樹木が多いところや、高層ビルのところなどでは、GPSの電波が弱くなり、地図上で少し(1mぐらい)ずれて表示されることがありますが、ガーミンはこのずれが少なくなります。
ガーミンのマルチスポーツタイプは、ランニングだけでなく、自転車やスイム、ゴルフなど様々なスポーツに対応し、多様なデータを計測して表示します。
例えば、ランニングや自転車では、心肺機能の指標となるVO2max(最大酸素摂取量)を測定したり、トレーニング効果として、有酸素と無酸素に分けてトレーニング効果を表示したりします。また回復に必要な時間や体にかかっている負荷も数値化します。
また、別売りの様々なセンサーをつけることで、ランニングフォームに関するデータを計測したり、パワー計測をしたりします。
ゴルフでは、スタート時に至近のホールが表示され、パー数や、グリーンまでの距離、コースの確認、スコアの登録などもできます。
ガーミンの他社にない機能としては、スイカに対応していることです。そのため、スポーツだけでなく、普段使いでも便利です。
スイカにも対応したfēnix 6S Sapphire
ポラールは心拍数計測の老舗
ポラールは世界で初めて、屋外で心拍計測ができる機器を開発・発売したメーカーです。
そのため、心拍数計測の精度やセンサーの利用しやすさに定評があります。スポーツ医学の分野では、一番精度の高い心電を計測する胸型心拍センサーを利用して研究を行うのですが、ポラールがスタンダードの地位を確立しています。
最近では、スポーツウォッチにLEDが搭載され、光学式の心拍計測が手軽さから一般的になっています。それまでは、心電を計測する胸に装着する心拍センサーが一般的でした。精度が高いのですが、胸をしめつける感覚があり、苦手とする人もいます。センサー部分を水に濡らさないといけないため、冬などでは装着するまでに気合が必要でした。
そんな手軽なウォッチ型の心拍計測ですが、デメリットもあります。ランニングなどで手首が動くことで、心拍計測に誤差が発生します。
また、最大心拍数あたりの精度も不安定だったり、インターバルトレーニングなどの一気に心拍数を上げたり下げたりするような計測も不安定になります。
一般的に、光学式の心拍計測の場合、バッテリーの消費が少ないグリーンのLEDが利用されるのですが、ポラールは、グリーンに加え、オレンジ、レッドの3色のLEDを利用し、心拍計測の精度を上げています。
さらに加速度センサーなどから手首の動きからの誤差を減らしています。これらの技術により、ポラールのスポーツウォッチには、光学式により発生する心拍計測誤差を減らす技術が組み込まれています。
ポラールは130を超えるスポーツに対応していて、心拍計測だけでなく、スピードや消費カロリーがわかるようになっています。
また、大半の製品がGPS機能を搭載しています。GPS機能がない一部の室内向け製品でもスマートフォンと連動することでGPSを計測することができるようになっています。
ガーミンと同じく、トレーニング効果をフィードバックしたり、回復度合いがわかったり、オーバートレーニングを防止する機能が搭載されています。
心肺機能の指標となるVO2max(最大酸素摂取量)は、Vantage V2だけ(他のセンサー不要)でトレーニング時だけでなく、安静時に計測することができるのが違うところです。
他社にない機能として、睡眠中の心拍数の変動を計測し、睡眠中の自律神経が交感神経優位か副交感神経優位かを分析できます。
各社、睡眠計測はついているのですが、レム睡眠やノンレム睡眠などを計測できる程度です。ポラールの場合、レム睡眠、浅い睡眠、深い睡眠の割合など体の回復具合を見るだけでなく、自律神経の状況を見て精神的な回復具合も見ています。
例えば、深酒をした翌日の寝起きは感覚的に非常に悪いことが多いです。しかし、多くのウォッチに搭載されている睡眠分析では、深酒した時の睡眠は体の動きが少ないため、睡眠の質としては良いという判断がされることが多く、寝起き時の感覚との乖離が発生します。
実際は、深酒した際の心拍数は高く変動が少ないので、非常に交感神経が優位(興奮している状態)な睡眠となります。これが寝起きの悪さにつながります。ポラールの場合、自律神経も計測しているので、総合的に見て睡眠の質が悪いと判断することができます。
その他、他社では別途センサーが必要なランニングパワーの計測がPolar Vantage V2をはじめとする上位機種単体で計測ができたり、長時間運動をする際に、心拍数の状況からタイミング良い時のエネルギー補給のアラートを出してくれる機能があったりします。
ランニングなどでウォッチ上に表示できるデータではガーミンの方が多いですが、ポラールはウォッチフェイスや、管理するアプリの見やすさでは評価が高いです。また、フィンランドの会社ということで、個人的にはデザイン性ではポラールの方が良いように思います。
睡眠中の自律神経がわかるPolar Vantage V2
登山に強いスントはコンパスやルート機能に強み
スントは、もともと探検用のコンパスからスタートしています。
そのため、登山などのアウトドア向けに根強い人気があります。また、ダイビングのコンパスでも歴史があり、ダイビングウォッチとしても評価を受けています。
スントのウォッチには、創設当初のコンパス機能だけでなく、登山で必要になるルートナビゲーション、天候の変化を予測するのに重要な気圧計、天気の表示機能などが搭載されていることが多いです。
耐久性や長時間の使用などを意識し、早い時期から特徴として押しています。ガーミンやポラールでも、ミルスペック対応や100時間超利用などの製品が出ていますが、スントの対応は早かったように思います。
スントの特徴を全て搭載したのがSUUNTO 9 BAROです。マルチスポーツ対応ですが、気圧計や高度計、GPSによるルートナビなどの機能を搭載。GPS利用で最大120時間連続使用というスポーツウォッチです。
特にロングバッテリーでは、インテリジェントバッテリーモードを搭載しています。バッテリー残量が少ないと、別のバッテリーモードへの切り替えを提案してくれます。長時間運動する際のバッテリー切れを抑えてくれます。
また、ユーザの運動履歴に基づいたスマートリマインダー機能もあります。次回の運動までに十分な充電をするように通知したり、今までの運動時間が長くなりバッテリー残量が少なくなった時にバッテリーモードを変更するように通知したりします。
また、ルートナビゲーションでは、POI(ポイントオブインタレスト)の設定ができたり、気圧の変化から天候の変化を予測し、通知したりする機能などもあります。
スントのスポーツウォッチは、長時間利用でき、地図や方向などをよく確認したい人にとっては便利でしょう。
高度、ルートナビ、気候の全部入りSUUNTO 9 BARO
まとめ
それぞれ各メーカーの特徴はわかりましたでしょうか?
正直な話、ダイエットのために運動するのであれば、今回紹介した3社のどのメーカーでも大丈夫です。
運動の沼に入り込み、もう少し早く走りたいとか、マラソン大会や自転車レースに出たい、普段の趣味をもう少し分析したいといった目的があれば、それにあわせたメーカーを選んでみてください。